オンライン授業だと学費を下げるべきなのか?
いやちょっと待て。
尾木ママ氏が大学にオンライン授業なら学費返すべきとか言っちゃってます。
なんてとんでもないことを言うんだ、と私は思いますが、同業者の皆様どう思いますか?
学生たちの間でこういう声があるのは知っていましたが、内実をわからず経済的に厳しいこともあって簡単に言ってしまっていることだろうと思っていました。
こんな影響力のある「教育評論家」などという肩書のある人物に言われるのとは全然わけが違います。
この人についてさほど良く知りませんが、こんなに考えなしな人だったのでしょうか?オンライン授業で、到底対面授業の質に及ばない適当な授業をしている教員の話でも聞いたのでしょうか。
そういう輩がいることも知っていますが、なんとか質を保とうと努力している教員の方が多いはずです。
多くのコマを抱えて、授業内容のかなりの作り直しを余儀なくされたり、新たなツールの使い方を覚えたり、時には自腹で道具を買って試行錯誤したり、オンラインの双方向性確保にかえって対面より大きな手間がかかったり、そんな状況でふんばって努力している教員に対して、授業料半額返還など、「オンライン授業はどうせ半額分ぐらいの価値しかない」と決めつけるようなものです。
この一年、多くの教員がどれだけ他の時間(研究・休息・家族団らん・睡眠等)を削って懸命に授業をしたか。
アナログ派の年配教員が必死にデジタルツールを学んだか、非常勤講師が自腹を切ったか。
「どうせ価値ない」なんて決めつけられたら、さすがにやる気を損なわせますよ。そんな方向性でいいんでしょうか?
まだまだ拙いものも多かったかもしれませんが、そりゃあ、昨年度なんて4月段階で前期の授業がどうなるかもわからないスタートでした。いきなり完璧にできるわけがありません。
「私は学生の味方です」然とこんなことをいう尾木氏には怒りすら覚えます。
施設費だって、各大学大きな出費をしてオンライン授業対応や感染対策に設備を整備・増強ているんですよ。
学生のせいではありませんが大学のせいでもない。未曾有の非常時で、誰のせいでもない。
実際コストはかかっていて学費を下げるような状況ではないはずです。(多くの大学では)
これ幸いと手を抜いている一部の教員に対しては、そこにピンポイントで対策を講じるべきでしょう。ちなみに私の勤務先では学生の授業アンケートが変更され、オンライン授業に手を抜いている授業をあぶりだせるような内容になっていました。その辺はまだまだこれから改良されていくと思いますが。