ローマ法王になる日まで

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来日中のローマ教皇、フランシスコの半生を描いた映画。

フランシスコ教皇を個人的に知る人々も、ご本人の人となりを結構描けていると評価しているようで興味深い作品です。

教皇が聖職者として活躍した若い頃の、軍政時代のアルゼンチンを中心に描かれています。

軍政といっても人々の普通の生活がそこにあり…と見せかけてやはりエゲツない反対派分子に対する弾圧。やり方が恐ろしすぎです。

拷問のシーンなどがあるより逆に淡々としていて怖い。飛行機のシーンとか。

気になる人はぜひ作品を見てみて欲しいですが、面倒な人はコメント欄ででも質問していただけたら説明します。

 

それはさておき、時々目にするフランシスコ教皇のニュースを見ても、この作品に描かれたエピソードを見ても感じるのですが、現教皇は、カトリックの伝統に忠実に従うタイプの聖職者ではそもそもなかったのだろうなと。

かといって、巨大組織(カトリック教会)のために改革を模索する政治的采配を追求するタイプかというとそんな印象からは更に遠い。

例えば、カトリックでは許されない不倫の子の洗礼を授けることを申し出たり(映画)、神を信じないと言って亡くなった父親が天国に行ったか心配で泣く子供に対する答え(メディア)だとか。

自身の、独自のロジックや感性で人々に寄り添っているのがフランシスコ教皇という人なのだと思います。映画の原題にある人々の教皇、という言葉の通りの印象を受けます。

カトリックという巨大な世界組織のトップに昇り詰めた人が政治屋で伝統死守の保守タイプとは見えないというのはある意味すごいですね。

 

若い頃に日本で奉仕することを夢見たと新聞報道にありましたが、映画ではそれにも少し触れられています。

長崎の信徒発見(教会組織がないのにキリスト教徒が何世代にも渡って存在し続けたこと。実際はかなり土着信仰化しており、キリスト教というべきものだったのかどうか、やや疑問符のつく実態ではあったらしいが)に関心を持っていたようです。

 

一見の価値はある作品かと思います。