盲目のキリスト(映画)

復活 | Netflix 

Netflixで見られる映画の紹介をもう1本、「盲目のキリスト」です。

あらすじ

舞台は現代の南米です。神が人間の(自分の?)内面に存在すると悟り、自分は奇跡を起こすことができると信じる青年。

行く先々でそれを人々に説いたりしながら旅をする。

南米といってもアマゾンのような土地ではなく荒野。まるで古代イスラエルを旅するキリストの姿のようにすら見えます。

 

とまあそんな感じのストーリーです。地味で、エンターテインメント性はありません。社会問題について直接的に訴えかけてくるわけでもありません。

レビューを読んだり、この作品を紹介してくれた(注:良い作品だと勧められたわけではなかった)某キリスト教圏出身の同僚のコメントを聞いても、この作品の受け取り方は驚くほど多様です。

 

以下ネタバレ注意

 

 

 

 

 

 

最終的には、奇跡を起こせなかった主人公の青年が、なんだ自分はただの人だったのかという風に、自分に失望した様子で終わります。

 

私はこの作品、「信仰」や「神」というものへの痛烈な批判のように解釈しました。キリストを思い起こさせる姿の青年が、最終的には実はただそう思い込んでいただけの何もできない無力な人に過ぎなかったからです。イエス・キリスト本人も、こういうただの思い込みの激しい一人の人間に過ぎなかったのでは?ただ、周囲の人々が従って信仰ができていったに過ぎないのでは?と言いたいのかというメッセージに感じました。

こんな映画がカトリックの国で製作されたとは驚きだとすら思ったのですが、しかし、この作品に対する解釈は実に多様なようで、何らかの宗教への信仰心を持つ人が「信仰というものを問い直す物語」とある種ポジティブに受け取った人もいる様子。

くだんのキリスト教圏出身の同僚は、「キリスト教圏て、神様がらみで時々こういう思い込みの激しい変な人いるんだよね」とのコメントで、「何が言いたいのかよくわからない面白くない作品」という程度の感想でした。

 

ともあれ、意識的な信仰心というものを持たない人が大部分であろう日本人の視点で見ると興味深い作品だとは思います。