アカポス公募。なぜ抱負を書かせるのか?

長年、研究職でのポストを求めて就職・転職活動をしてきた私ですが、今は採用人事に関わっています。う~ん、感慨深い。

今日はそこで感じたことを少々。

 

公募書類って一通作るのも大変な手間がかかりますよね。企業に応募する際の履歴書とは全く違うと思います。更には使いまわしもし難いため一通一通準備しなければいけない場合が多く。

そんな公募書類の中でも、「抱負」を書かせるものは少なくありません。

大体が研究の抱負や教育の抱負です。

これが果たして人を選ぶ重要な基準になるのだろうか?と疑問に思ったこともあるのではないでしょうか。

まあ、研究の抱負があれば論文のコピーや業績リストでは見えてこない、これまでの研究をどうこれから発展させる展望なのかがストーリーだってわかるので、とても役立つでしょう。

教育の抱負も、その分野の教育経験がしっかりあるか、試行錯誤して工夫しながら授業をしているかが垣間見えるので、有意義です。

 

しかしそれ以上に、多くの「抱負」を読む機会を得て今回なるほどと感じたこと。それは、抱負などのエッセイで

「その人の性格と思考の整理能力などがある程度、伝わってくる」

ということです。

やはり文章って人を表しますね。たった1-2ページ程度の分量でも、(全ケースとはいえませんが)個性が出ているのがとても面白い。

科研費の申請書の書き方のコツ」を参照したみたいな抱負もしばしばみられ、そうした通るためのテクニックもありますけど、そうしたテクニックを使って優等生的に書けば無個性になるかというと、そんなことはない。

 

わかりやすい例を挙げれば「ああ、この人は巨視的にものを見られる人なんだろうな」とか、「独りよがりでわかりにくいな」とか、「小説みたいな凝った表現が好きだが内容薄いな」とか、教育にこういう姿勢で臨んでることが、この研究テーマのチョイスに繋がるのが垣間見えるな(ちなみに教育学ではない)だとか。

その他細かいニュアンスでも色々な個性が伝わってくるものです。

 

抱負とは、自分が書いていた時に考えていた以上に、すごく参考になるものだったのだなと今頃しみじみ。

アカポス就活中の皆様、ご参考までに。

 

ああ、それから小技ですが、現住所は違う地域なのに応募先の大学が実は出身地であるという人は、履歴書にそれを匂わせるといいかもしれません。

普通は空欄にすることが多いであろう「その他の連絡先」に実家を書いてみるとかね。

特に首都圏以外は、「採用した教員がこの地に根付いてくれるか」を多少なり気にしていると思うので、少し好印象にはなるかもしれません。