テニュアポストへの長い道を振り返って

 

 

前回の記事にお祝いのコメントをくださった方、はてなスターをくださった方、ありがとうございます。(はてなスターという機能を私自身ほぼ使用しておらず、他のブログにも付けないせいか、あまりつかないのですが、付けてもらうと嬉しく思ってます。他の記事にもこれまで付けてくださった方々、ありがとうございます)

今回はふと思い立って目次をつけてみました。やや長いので。

 

これまでの流れ

私のこれまでの経歴は、ざっとこんな感じです

・非常勤講師などをしながら学位取得(数年余計にかかってしまった)
・一年間の任期付専任
・現所属の教育困難系大学に任期付専任
・任期切れが迫る中、テニュアポストの内定を得る(←イマココ)

学位取得前から、アカポスの公募には出していました。
多い時は一年で25件ぐらい応募しており、常勤職の公募だけで、記録を数えたところ120件以上になります。そのうち内定を得たのは3件、内定前の段階で辞退したものが2件です。
面接に呼ばれたのは、全部で12件でした。
私の場合、面接に呼ばれたのは学位取得後のみ。今年度は15件出して三件面接に呼ばれ、一件内定、もう一件は理事長面接まで進んだので、かなり良い確率で進んでいたことになります(もう一件は一次面接で辞退)。

研究者のモデルルート?

常勤職になってから異なる分野などを含めて周囲を見渡してみると、学位取得前、30歳前後で初の任期付ポストを得ている人は意外と多く、学位取得後ストレートで(今は任期付がやはり多いものの)ポストを得ている人も少なくないようです。
30ぐらいで任期付助教となり、そのまま准教授昇進でテニュアが付く、あるいは他の大学に任期無しで採用というパターンが多いようで。

そういう人はやはり優秀で若い時から査読論文や学振、科研費などの業績が華々しく、また見た範囲に過ぎませんが、分野内でも注目度の高い、研究者の層も厚いテーマを扱っている傾向がありました。

 

私がまあまあの大学にテニュアポストを得られたわけ

研究分野

これに対して私は若い頃はただただ好きなことを好きなように研究しているという甘いスタンスで、査読論文も競争資金もなかなか取れず、就活もうまくはいきませんでした。
また、「ポストを得るのに苦労するよ」と言われるようなややニッチな領域を好んで選んでしまったこともいくらか不利になったと感じています。
私の分野は文系の、まあまあ競争の激しい分野です。実学に直結せず、しかし学問としては割と人気がある、そんな分野(何の分野か書けば良いのにまどろっこしいと思われそうですが、この状況ではとてもじゃないが素性を明かせませんし、好きなことを好きなように欠けなくなりそうですし、所属先から色々言われて自由な内容がなくなった研究者のブログも知っているので、あくまで匿名スタンスで。すみません)。ただ、研究者の母数は多いがポストはそこまでではない、という分野なので、最もシビアな分野ではありません。最もシビアな分野は、最近専門学部や学科が顕著に減っていて、研究者もポストも少ない上に減少している分野でしょう…。

勝因分析

そんな条件で私が何とかパーマネントのポストにありつけたのは、愚直に研究や教育にまい進してきたことは当然として、それに加え、公募で求められることをとにかくクリアしていき、出せる公募はひたすら数多く応募してきたことだと考えています。幅広い科目の教歴、様々な学内行政の経験、海外経験、競争的資金、授業におけるウケの良い試み、地域貢献、社会貢献、英語での論文を増やす等々。学会発表や論文のタイトルを考える時、業績書にリストとして並んだ時どう見えるか、なども考えていました。
ポイントになりそうなことをとにかく地道にやっていきました。
そして、これは誰でもやっているかと思いきや同業者の友人に「そこまで書くの?」と驚かれたことなのですが、学生が就職支援課で教わるように、自分を最大限素晴らしい人材であると抱負等でアピールすることです。奥ゆかしい日本人には苦手なことなのかもしれませんが、企業の就活では当たり前のようです。

そして、アカポスはとにかく研究業績が大切で、それでほぼ全てが決まるんだというような言説をしばしばネットで見ますが、大多数を占める教育大学では違うと思います。

模擬授業があれば、「わかりやすく」「楽し気に」「学生(審査員)巻き込み型で」授業をします。小ネタも必ずはさみます。

また、学内業務の経験があれば、それをアピールすることも効果的です。ただし、「学内行政が大好きでそれに必死なタイプ」をアピールするのはマイナスです。こう書くと難しそうですが、「経験があるし、そつなく嫌がらずこなせます」という人材が好まれます。

面接前にはHPを隅から隅まで読みつくし、大学、学部、学科の特徴を見定め、志望動機や自分という人材とのマッチングのストーリーを考えます。わざとらしいことは言わない方がいいでしょう。浸りきって、その大学で働いている自分を妄想しつつ考えると湧いてきます(笑)

周囲に比べても私は割と、就活に必死にやっていたと思います。
研究の世界で本当に天才的な人を見たことや、「その領域はポストを得るのに苦労するよ」と言ってくれた先生のお陰もあって、本当にどうにもならない可能性はある、充分に、と危機感を持てたためでしょう。

むすび

厳しい厳しいと言っても、私の周辺では、それなりに業績があり、かつ研究を継続的に行っていて、それなりに就活していて、あまり選り好みしなければ、何とかなっている人が多数派のようです。
それでも、任期切れでその後非常勤しかなくなってしまう人、ずっと非常勤のみの人も散見されます。

アカポス就活中の人にこの記事が何かの参考になるといいのですが。
と早くも先輩風をふかせるようなことを書いて、4月1日まで何があるかわからないのが大学の人事なんですけどね。もし悲惨なことにでもなったら、その時は慰めてください(笑)