「高給だがストレスの少ない33の仕事」の研究者率がやたら高い(笑

米国でタイトルのような調査をした結果の33の職業を紹介するという記事がありました。「ストレスの少ない」とは、「批判を受け止め、ストレスの大きな環境でも落ち着いて、効率的に対処できる」必要が少な目な職業のことだそうです。「高給」は、年収7万5千ドル(800万円ぐらい)以上とのこと。

ちなみに1位はマテリアル・サイエンティストだそう。どんな分野かいまいちピンときませんが、工学系の科学者ですね。

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ざっと見て、「高等教育機関(大学等)の教員」や「学者」「科学者」がやたら多いので数えてみたところ、なんと33中23!!ちなみにその次に多いのは「エンジニア」でした。

「高等教育機関政治学の教員」と「政治学者」みたいな、「どう違うの?」という謎のカテゴライズがあったりしますが(後者は恐らく英語でいうと「学者」というより「~の専門家」というニュアンスですかね)、全般的に研究者はストレスが少なく米国では高給という調査結果のようです。なんと、研究者はパラダイスのような職業なのでしょうか。

同業者の皆さん、どうでしょう。納得ですか?驚きですか?

研究者という職業は、「批判を受け止め」る必要は、結構あるのではないかと思うのですが、どうなんでしょうね。「教員」としては、一見、学生の上に立つかのようなポジションになりがちですが、「研究者」としては、結構いい年になっても、時に査読(論文の審査)や学会発表で辛辣なコメントをもらうこともあるではないですか(私だけではない…はず・笑)。

しかし、それ以外の点においては、確かにストレスは少なめの職業なのかもしれません。あるとすれば、それは職業特性というよりも職場の問題ではないかと思います。

教育困難大学や理事長が強権を振るうタイプの大学では、意義を感じられない虚しい業務(理事長の気まぐれによる意味のない改革、不真面目な学生への手厚いお世話、入学生確保のためのなりふり構わない活動等)に忙殺されて研究どころか教育もままならないといったストレスは大きいかと思いますが、それは研究職全般の話ではありません。

また、昨今では若手研究者が安定したポストを得られず、先が不安でたまらないというストレスは半端ないものがありますが、それも職業特性というか日本の研究政策の弊害ですしね。

自分の好きなことを追求でき(研究)、それに関する知識を(たとえ基礎的な部分だけであるとか、直接は関係しない周辺分野を多く含むなどがあるにせよ)若者に伝え、熱心に(たとえ単位のためでしかない場合が多々あったとしても)聞いてもらえる(教育)ことを生業とし、社会的にはまあまあ好印象を与える肩書を得られ、多くの場合は特別高くもないが世間の平均よりは多めの収入を得て、時間の自由度は高い(ただし暇なわけではない)。

うむ、やはり結構恵まれている気はします。何より、他人から見ればやたらマニアックで細かいことを追求しているなあという風に見えていたとしても、自分の好きな分野で新たな発見や考察をすることはとても楽しく、遣り甲斐があります。仕事でそれをできるなんてありがたいことです。

ちなみに、4月からこの3月までの、今年の私の出校日(授業や会議、学内イベント等。外部の学会などは含まない)は155日でした。それ以外は自宅や研究室(たいてい個室)で仕事をします。この自由さも本当に嬉しい。

というわけで、ポストさえ得られれば、研究者は良いお仕事ですよ。ポストさえあればね。それがなかなか厳しいんですけどね。