シラバスの憂鬱
シラバスの季節ですね(笑)
もう締め切りを過ぎたところも多いでしょうか。
何やらお上から色々言ってくるようで、毎年シラバスの縛りがややこしくなっている気がします。
今年(次年度用)は、必ず教科書か参考文献を指定すること、事前事後学修を具体的に毎回分記載すること、という項目が強制されました。
同業者の皆さんには同意していただける人が多かろうと思うのですが、結構無理があるでしょう、これは。
必ず教科書か参考文献を指定する、まあ、参考文献でもいいのであれば、15回の学期を通して大抵は何かしら使うでしょう。しかし、事前に指定できるとは限らない。
例えばゼミ。
一般的には学生が主体的に発表や討論を行う形式となります。ゆえに、参考文献はその都度学生たちが選ぶ資料になります。
これをどう事前に教員が指定しろというのか。
そして、事前事後学修。予習復習宿題などを、これもまた15回分、あらかじめ具体的に明らかにせよというのです。15回分といっても、後期の分も含まれるので、来年1月末にやる授業の分までです。
そこまで細かくあらかじめ決めておけと!?その時点でもう、無理がありしんどいわけですが(中には、毎年やる内容が固まっている先生もいるかと思います)、例えば週に10コマ程度の授業やゼミを履修している学生皆が、その10コマそれぞれにきちんと事前事後学修をするかというと、はっきり言って、するわけがないのが実態です。
大学の単位とは、1単位45時間の学習(事前事後学修などを含む)が必要ということになっているようですが、普通、1学期間15回の科目は2単位のことが多いのです。
授業時間は90分が15回。すると、事前事後学修には、なんと67.5時間必要となるようです。各週4.5時間です。授業1つあたり、4.5時間の事前事後学修をする想定だそうですよ。
1-3年生ではごく一般的な数である、週10コマ履修したとして、(4.5+1.5)×10=60時間/週。週に1日の休息をとるとして、1日10時間。フルタイム労働よりも長い。
バイトもサークルもできやしませんね。
「6時間すべき勉強を1.5時間だけでヨシとするんじゃない!単位の実質化を!」ということで、事前事後学修の強化を言ってきているわけなのですが。
それって、シラバスの書き方で解決する問題ではないですよね、どう考えても。
本当に2単位90時間学ぶことを求めるのなら、教育困難大学なんてそもそも存在するのは無理だと思います。そんなことができる学生はほとんどいません。
経済的に余裕のない学生も、バイトどころではないので大学を4年で卒業するのは厳しいでしょう。
45時間で1単位というのが現実からあまりに乖離しているのに、「シラバスにちゃんと具体的に事前事後学修を記載する」という小手先の対策で「単位の実質化」だなど・・・。
うーん、ため息がでてしまいそうです。
なにも、教育困難大学や勉強に時間が割けない学生に合わせろというんじゃありません。
厳しい既定の実質化を優先するなら、「現状の大学はそれに合わせるのが現実敵に不可能なケース多々ありますよ」ということを直視せず、形式や小手先で取り繕っただけで「こちらはちゃんと対策を講じましたよ」面するのはどうよ、と思うのです。