独裁系教育困難大学の入試と偏差値

かつてないイレギュラーの今学期も、成績付け作業が終わりました。

昨年度までの勤務校と現在では、偏差値にして10ほど違います。
決して上位校ではありませんが、いやぁ、思っていた以上に学生たちが優秀でまじめで、本当に嬉しい。
全く同じ課題を出したところ、出来栄えの違いに驚きました。
数年前に課題を作成した時に想定したような水準で、ああ、大学生に自分の専門分野を教えているんだ、という喜びを感じます。

予備校などのHPで確認できる偏差値では10くらいですが、正直それ実態はそれ以上の差と思われます。以前の大学は公表偏差値はかなり操作されたらしく、当てにならないものであることを中で働いてしばらく経って知りました。
まず、AO、各種推薦(公募、指定校、スポーツ等)で半数を余裕で越える数の学生を年度の早い時期に確保します。そして年明けに少数の一般入試を行います。前者のAOだの各種推薦だのは、一般入試の水準に遥かに及ばない学生がたくさんいます。極端に言えば、恥ずかしくて口にするのも憚られる実態ですが、日本語がまともにできない留学生も当たり前のようにいます(英検でいえば3級に合格していない水準は多い。もちろん日本語で専門科目の授業を理解するなど無理)。日本人であっても、国語の教科書程度の文章が読めない、英語のbe動詞がわからないような学生が当たり前のようにいます。恐らく、”ケーキの切れない”学生も少なからずいたことでしょう…。(参照「ケーキの切れない非行少年たち」宮口幸治)
それなのに、一般入試はでは不合格者をたくさん出します。偏差値にして40代前半から予備校によってはぎりぎり45ぐらいですが、be動詞がわからないレベルでは到底合格しません。そうすることで、定員を確保しつつ、予備校で発表される偏差値を高くするわけです。公然の秘密といった感じで事務方上層部からそんなことが漏れ聞こえていました。
その結果、学生多数の水準は公表偏差値には遠く及ばず、学生間の学力差は大きくなります。一般入試で入ってきた学生にとって詐欺みたいなものじゃないかとすら感じます。
もちろん、今日びの私立大学は多かれ少なかれそんな面はあるでしょうが、恐らくここまで開き直って実態を無視し、定員を安定的に充足させ将来安泰な評判(偏差値)を得られればそれでいいと突き進んでいる大学は、そう多くはないかと。
まともな大学は、AOや推薦をそんなにもザルにすることに対して教員組織が抵抗するわけですが、教員組織にそんな力がない、及び抵抗するような教員は徐々に排除されていくのが独裁系大学。
なぜこんなやり方で一般入試を受けに来る公表偏差値水準の学生がいるのかむしろ不思議に思いますが、そこは湯水のように投入された広告費と営業活動と綺麗でおしゃれなキャンパスで何とかするわけです。
実態は、半数以上がBF水準だったと思います。

アカポス就活中の皆さん、面接に呼ばれたら、その大学に妙な評判がないかネットや友人知人のつてを辿ってよーく調べることをお勧めします。何かしら漏れ伝わってくることがあるはずです。

受験生の皆さん(このブログを読んでいる人にはあまりいないでしょうが)オープンキャンパスの雰囲気だけで進学先を決めてはいけません。