職業としての大学教員の良さ
世の中には、大学教員は仕事量が少ない割に稼ぎもよくけしからん、というイメージを持たれている方も少なくないようです。
それは完全に間違いだとは言えないまでも、ほとんどの場合間違いだと思います。
歯切れの悪い言い方ですが、さぼろうと思えばかなりサボれる職かもしれないけれど、まともに仕事をし、研究もちゃんとやっていると、とても忙しい職業です。
任期付きのポストにいる若手は、もちろんサボるなどという選択肢はありません。
それでも、大学教員という仕事の自由度は、何にも代えがたいメリットだなあとつぐつぐ思います。
月曜から金曜まで、例えば朝9時から夕方6時といった決められた時間、同僚と一緒にデスクを並べて仕事に集中する、ということが、自分にはとてもできそうにありません。
「ああもう疲れた、ダメだ」と思っておもむろに事務作業をやめて本を読みだしたり、突然研究室で体操を始めてみたり、小声で鼻歌を歌ったり、意味なく歩き回りながら書類を読んだり、寝転がりながら試験の採点をしたり、どうしても気が向かないので休むことにしようなどと思って数時間研究室のチェアで居眠りし、代わりに夜や週末もずっと自宅で仕事をしていたり、そういう形でないと、効率的に仕事ができる気がしないのです。(断っておくと、トータルでの労働時間はうんざりするほど多いです。)
大学内の事務職員さんや、デスクワークのサラリーマンの方々を見るにつけ尊敬しています。
「いやいや、自分だって同じだけど、仕方なく決まった時間同僚とデスクを並べて仕事しているだけだよ」という人ももちろんたくさんいるでしょう。
私もアルバイトで、一日8時間ほど同僚とデスクを並べて仕事をしたことがあります。なんだか苦痛で仕方なくて、就業時間を1分ごとに待ち続けるような気分でした。
入りたくもないサウナに入れられて、出る時間を1分1分待っているような気分というか。
自分には、大学教員という仕事が向いているというか、これ以外にできる仕事がないような気がしています。内容というよりも、仕事の進め方という点で。