丸山穂高議員問題

丸山穂高議員の件、2週間ぐらい経つのに未だに連日報道されていますね。

説明は特に不要かと思いますが、北方領土をビザなし交流の訪問団として訪れた際、元島民に対して「戦争しないとどうしようもないですか(島を取り戻せないとの意)」と発言して、「戦争なんて言葉は使いたくない」などと元島民の方に否定されてもなおしつこく絡んだという出来事。

以前、酔っぱらった挙句に他人に噛み付き(比喩ではなく、本当に歯で人に噛み付いたらしい)、断酒を宣言、飲酒したら議員辞職するなどと言っていたことや、上記の戦争発言の際には「女を買いに行く」などと発言して必死に止められるといったこともあったことが報道されています。

即座に維新の会を除名処分になっているものの、これに対し、丸山氏は議員辞職はしないとがんばっており、驚くことにそれだけではなく「言論の自由の侵害だ」とお怒りの様子。

 

これについては私も色々思うところがあります。

というかそもそも、飲酒したら議員辞職というのはスルーのようですね。「そんなの本気なわけないでしょう」とでもいうのでしょうか。

そうなってくるとどこまで本気の発言か他人にはわからなくなるし、信用できなくなるので、簡単にパフォーマンスでそういうことを言うもんじゃないでしょう。

 

それは別として思うところ3つ。

1つ目は、なぜ彼は必死に自分を批判する維新の会を批判し返したり、辞職勧告にも絶対に辞職しないとがんばってみたりするのかという点。

その態度は世間に好ましい印象を与えず、次回選挙での当選がますます絶望的になっていくことがわからないわけではないでしょうに。辞職勧告という方法に疑問を持つ有権者はそれなりにいたとしても、北方領土での発言や酔って他人に噛み付いて断酒宣言をしたのに全然守っていなかったらしいことを不問にするかどうかは、もちろん全く別問題なわけで。こんな調子では、もしも全面的に反省して謝罪していれば許したかもしれない人を含め、圧倒的多数の有権者は、ぜひ次も丸山氏に投票したいとは思わないのではないでしょうか。

日本の文化風土から考えても、ここは潔く謝るのが最も彼の将来の利益(次の選挙での当選)になるはず。

それにもかかわらず、彼は逆切れともいえる攻撃的な姿勢を貫いています。(最初こそ謝っていたものの、党除名や辞職という話に至ってはずっとお怒り冷めぬといった姿勢)

この人は、「自分が正しいんだ」ということに損得を度外視してでも固執して譲れない性格なのかなと思えてなりません。自分が間違っていたのかもしれないと絶対に認めることのできない人なのかな、と。

東大卒で官僚となり、20代で政治家へ。挫折などない華々しい経歴のようですが、もしかしたら、これまで自分が間違っていたのかもしれないと思う経験がなかったのでしょうか。

反省もせずにひたすら攻撃的な姿勢を見ていると、とても政治家を任せるべき人物とは思えません。

ちなみに彼が反論の拠り所にしている言論の自由に関しても、彼の主張は説得的とは言い難いです。これはそもそも、統治者・支配者(≒政府)に不都合な意見を述べることが制限されるべきではないという趣旨のものであって、なんでもかんでも許されるという意味ではありません。例えば安倍政権の政策や方針に反対する意見は「言論の自由」で保障される必要がありますが、この21世紀の社会において、基本的人権や、差別禁止を真っ向から否定するような発言は「言論の自由」で保障されるべきものではありません。そういう意味で、丸山氏の発言は「アウトの部類」と判断されたというべきです。

 

2つ目は、こういうことが起きるたびに思っていたのですが、党員でなくなった議員が何事もなかったように議席を有し続けるのって、どうなんでしょうね?

現状の選挙制度では、「丸山穂高候補」に投票したというよりも、「維新の会の候補」に投票したという有権者は相当数に上るはずです。ましてや丸山氏の選挙区は大阪。全国的な維新の人気や影響力と、大阪でのそれは全く異なり、圧倒的な人気を誇っているわけで。

「維新の候補だから」と候補個人など問わずに投票されたことによって当選した可能性も、正直少なくないでしょう。彼の場合は小選挙区のようですが、比例で当選した議員の場合なんてましてです。これは明らかにおかしいとしか言いようがない。

そういう「支持する政党の党員だから」と当選した(かもしれない)議員が、党を除名されても問題なく議席を占めることに違和感を覚えるのは私だけではないはず。

 

3つ目は、この人はどういう意図で「戦争しないとどうしようもない」といったのか、という点です。推測にすぎませんが、彼はもしかしたら、「戦争しないと島を取り返せない。だから戦争してでも取り返すべきでは」という、報道などでも解釈されている意図で発言したのではなく、「戦争でもしないともはや取り返せないが、戦争なんてできるわけがない。だからもうぐだぐだ言うな、無駄なんだから」とでも言いたかったのではないかなという気もします。

戦争してでもという情熱をこの男が北方領土に寄せるだろうか、それよりも、北方領土問題があるからロシアに対する外交で微妙なかじ取りを強いられてやきもきする、という方がこの人の人物像を考えた際にしっくりくるような。繰り返しますが、勝手な推測にすぎませんけれども。

 

それにしても、地方選でもさらに勢いづいていたというのに、維新にとっては、大迷惑でしょうね。周知の通り改憲派の彼らは、護憲派に「戦争」という突っ込みをされるのをもちろん嫌うでしょうし、慎重に改憲論議をしていたのに、身内からこんな風に、「戦争したいと思ってます」とも言わんばかりの発言が出てくるとは。