博士の就職に関する変な記事

博士の就職に関するなんか変な記事をNewsWeekで発見。

要は、今時は博士号を取っても大学の就職はなかなかなくて大変だ、という内容です。

それ自体は、まあ多くの人が頷くものなのではないでしょうか。

 

しかし、数字がおかしすぎです(笑)

なんと、博士課程修了、つまり博士号を取得した14人に1つしかポストがないというのです。この数字にはさすがに違和感があり、よくよく見ると…

14人に1つという数字の出し方は次のようなものでした。

「その年の大学のポストの数ー前年のポストの数÷(博士課程修了者+単位取得満期退学)」

・・・( ゚д゚)

これじゃあ、「1年間でのポストの純増分に、その年の新博士(か単位取得満期退学者)が就ける割合」じゃないですか。

既存のポストについていた教員が退職し、別の人がそのポストについた場合がなぜか完全に無視されています。ポストの数自体がそんなに増え続けるわけがないですし、ポストが空いたら新しい人を採るのが普通です。

ついでにいうと、「博士14人にポスト1つ」とサブタイトルで書きながら、しれっと単位取得満期退学者を含めて計算しちゃってます。単位取得満期退学者が全員大学でのポストを目指し、就けるべきであるという前提の計算になっているのにも首をかしげざるを得ません。(単位取得満期退学とは、「後は博士論文さえ書けば」、という博士一歩手前のような状態です)

加えて、博士課程修了者にはかなりの割合で医学の人々が含まれ、門外漢なのでよくわかりませんが、彼らの大部分は大学のポストに就くわけではないのでは?

(ちなみに、私が博士課程を修了した時の修了式では学位の種類が読み上げられていましたが、そのうち6-7割が医学でした)

 

筆者のM氏(ご本人の名誉のために仮名)は、教育学で博士の学位を取得し、非常勤講師を少し前までされていた人のようです。複数の著書にはデータとか統計というワードがいくつも見られます。うーむ。

NewsWeekさん、適当すぎませんか。 

 

ちなみに私の周辺では、 分野にもよりますが、20代後半から30代半ばくらいで博士の学位を取得し、あれこれ贅沢言わずに手当たり次第に大学のポストに応募し、そこそこ普通に人とコミュニケーションが取れ、研究テーマがあまりにもマニアック過ぎない場合は、大体数年で任期付きのポストには就けているようです。

任期付きから脱するのが難しいのが、また問題なんですけれどね。

 

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

にほんブログ村 教育ブログ 教育者(大学)へ
にほんブログ村