大学入試問題のミスについて考えてみる

毎日新聞の記事です。

「相次ぐ入試ミス:問題作成、教員に負担 外部委託の動きも」

https://mainichi.jp/articles/20180203/k00/00m/040/158000c

 

阪大、京大で入試問題のミスが相次ぎましたね。

それに関してこんな記事がありました。

受験生は知らないかもしれませんが、入試問題を作っているのは基本的にその大学の教員です。でもね、そもそもおかしいと思いませんか?

記事にもありますが、高校の科目を専門とする教員が、必ずしも各大学にいるわけではないんですよ。いたとしても、広く浅い高校の科目内容と、狭く深い大学の学問は根本的に違う。

それにも拘わらず、難易度などもその大学の入試に合わせて適切なものを、一分の隙も無い完璧な形で作ることを求められるのです。

文科省のHPを見てみたところ、「入学後の教育との関連を十分に踏まえたうえでの大学入学者選抜」を行い、「求める学生を適切に見いだす」というのが入試の建前のようです。故に、基本的には自前で入試問題を作ることが望ましいという考えなわけですね。

もう、建前などと言ってしまいますが、きれいごとすぎます。

「各大学の教育特色や理念、教育プログラムに合う学生を、それに合わせた入試問題を」って、ICUなんかがそんな感じで独特らしいとは聞きますが、例外的な存在なのでは?

ほとんどの大学は、高校の科目内容を元に、難易度の高低を調整するという問題作成を行っているのが実態だと思われます。

「大学は自前で入試問題も作れないとは」なんて批判調の雑誌記事も目にしましたが、当たり前ですよ。高校の科目など、大学教員は基本、無関係ですから。

無関係な分野で、ものすごく緻密で完璧な問題を、適度な難易度で作り上げるという作業は、作るのも大変ですが、そのチェック作業がまた大変です。

ミスのあった阪大は十数回の確認作業を行ったそうですが、実際どこもそのぐらい行っているのではないでしょうか。

教員の時間を膨大に奪っていく作業です。

しかし、同じ人間が同じ問題を十数回も見ていては、見すぎていてなかなかミスも発見できません。違う人が毎回チェックする体制は現実的に難しいでしょう。それほど大勢、高校物理の単元が全般的にフレッシュに頭に入っていて、チェック可能な人材がどれほどいるというのでしょう。

入試問題は入試問題作成業者が作ればいいと私は思います。

「我らが作ったこの物理の問題を解ける人に入学して欲しい!」というのではなく、「高校の単元をどれほど理解していて、どれほどの能力があるか」が知りたいのですから。

「入学してくる学生を選ぶ問題を人任せとは何たること!」みたいな論調は、一見正論のように見えながら、本質から外れたところで誇張されたきれいごとではないでしょうか。

 

 

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