100日後に死ぬワニと戦争で死んだ兵士のこと

いやー、ものすごく話題になっていましたね。

何かというと、「100日後に死ぬワニ」というタイトルで毎日素朴な絵柄の漫画がTwitterにアップされていて、それが100日の間にみるみる大人気になっていたのです。

私も、二か月ぐらい前からたまに見ていました。

「ワニ」なのですが、彼の日常は普通の今どきの若者の平凡なそれであり、だからこそ、毎日漫画の最後に「死まで〇日」と書かれた一言が、読者をなんともいえない気持ちにさせます。

そのワニくん漫画、ついに2日前に完結しました。

ワニくんは予告通り死んでしまいましたが、その死も、はっきりとは描かれないものの、何かすごくドラマチックだったり意外性があるようなものではなく、日常の、良くありそうなものでした。

 

この漫画を見て、私はしばらく前から学生時代に読んだこの「戦争で死んだ兵士のこと」という絵本を思い出していました。

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戦場で横たわる死んだ兵士。

絵本は、彼の人生をさかのぼって振り返っていく構成となっています。テレビゲームの戦争もので、倒れたモブキャラのように、死んでいる軍服の兵士。しかし、彼にはごく普通の若者としての人生、子供時代、赤ちゃんの時代などがあり・・・。淡々と、それが振り返られていきます。

この絵本、ものすごく強烈な印象として約20年も私の心に残っていました。

ワニくんもこの絵本も、自分とは無関係で、世界でたくさん起きている「死」を顔の見えるリアルなものにすることで、人の心に訴えかける作品といえますね。

「戦死者約〇〇人」「今年の交通事故死者〇万人」などという数字で聞く印象とはあまりに違う、生々しく描かれたひとつの事例。

知らなかったわけではなく、考えてみれば誰にでもわかることです。戦死者にも事故死者にも、ありふれた、平和で、恐らく幸せな人生があったことは。しかし、普段はあまり意識していませんし、なかなかいちいちしていられないでしょう。しかし、それを生々しく可視化されるとこんなにも心に訴えかけるものがあるのか、と思います。

この絵本、amazonで確認したところもはや中古しか売っていないようですし安くもありませんが、図書館などで見かけたらぜひ手に取ってみてください。