教員相互の授業見学

近年、どこの大学でもやっていると思いますが、大学教員がお互いに授業を見学し、得られたことをレポートするという仕事があります。互いに授業の工夫や良い点を学び、教員たちの授業の質改善につなげようというもの。

私も数年間この授業見学をやってみて、得られたことは多々あるので基本的にやる価値はあるかなと思います。

しかし、自分の授業がない空きゴマで、週1回ある非出校日(研究をするための日として設定される)にわざわざ来るのもな・・・と思うと、「この教員のこの科目をぜひ見てみたい」と思っても必ずしも時間が合わず、それほど見たいわけでもないが日時の都合が良い授業を見ることが多いです(笑)

 

何年か、教育困難大学においてこの行事に参加して思うこと。

学位を取得する前後の若い非常勤講師の授業は「いかにも"大学"っぽい」。

専任のベテラン教員、特に役職者などの授業は、簡単で楽しげなものが多い。

もちろん当てはまらない教員は多いと思いますが、なんだか面白いです(笑)

若い非常勤講師は、自分が上位国立大学などで学んだ授業をモデルとしているのか、「学問」という趣で厳しい。

大学経営の主力として活躍するベテラン教員は、「これが大学の授業なの?」という感じ。

ちなみに、簡単で楽し気な授業の準備は、決して簡単ではありません。むしろより手間がかかることも多いでしょう。

こちらの記事で、ハーバード大学卒のインテリ外国人タレントのパックン(パトリック・ハーラン氏)が東京工業大学で非常勤講師をしていることを書いていました。(記事中には非常勤とはありませんが、確認したところ非常勤のようです)

hochi.news

抜き出してみると、

ハーバード式の授業スタイルで、宿題は毎回大量に出し、遅刻厳禁。その影響か講師を始めた頃は300人いた講義の生徒数が今は32人になってしまったという。「宿題が多すぎる」と嘆く生徒たちにパックンは「狙い通り」と笑いながら答えていた。」

パックン氏…好きにやっていますねぇ(笑)

東工大を私の勤務先の教育困難大と比べては怒られるでしょうが、いかに名門国立大とはいえ、教養科目なのにハーバード式大量の宿題で受講生が1割になるだとか、専任だったら問題になっているレベルだろうなと思います。

学生のレベルや学部内での科目の位置づけ、役割を無視して「これが大学の学びというものだぁ!」とでもいうような授業をやったら、今日日の大学においては、専任教員としては落第です。

任期付きだったら、更新や無期転換がされないかもしれません。

 学部内でもトップクラスの人気教員が非常勤ということも珍しくはありませんし、教育に関して非常に優秀な方も多いです。

しかし一方で、非常勤の先生方はもちろん学内の会議にでるわけでもありませんし、なかなか大学や学部の現状、課題、目標を共有したり、方針を徹底することもできないんですよね。なので、いまひとつ大学とかみ合っていないケースも多いよう。それに、非常勤の先生には、大学からあまり注文をつけたりしにくいようです。

 

そうそう。授業見学して楽しいのは、授業中は普段(同僚として接している時)とキャラが変わる先生の授業を見ることです。時々、いますよね。意外な一面を見ることができるのも、楽しみなのです。